やなぎだ耳鼻咽喉科(大阪府東大阪市西鴻池町)| 耳・鼻・喉あれこれ

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鼓膜に穴があいた!(外傷性鼓膜穿孔のお話)

2007,8,29

膜に穴があいたといわれると、患者さんやそのご家族は「耳が聞こえなくなってしまうのでは?」などと非常に心配されます。そこで、今回は「外傷性鼓膜穿孔」の原因・症状・治療と経過などについてお話しましょう。

[原因]
(1)耳かきや綿棒によるもの、(2)平手打ちなどの暴力によるものが最も多く、(1)は直接鼓膜が傷つく直達性穿孔、(2)は気圧による介達性穿孔と分類できます。
直達性穿孔は、マッチ棒や鉛筆による外傷のほか、特殊なものとして花火や溶接の火花などの火傷、昆虫などの異物によるものもあります。
介達性穿孔は、ダイビングや航空機などによる気圧外傷などがあげられます。

[症状]
症状としては、難聴が最も多く、直達性穿孔では耳痛・耳出血、介達性穿孔は耳鳴り・耳閉塞感も多くみられます。
また重症例では、鼓膜の損傷だけでなく、その内側の「耳小骨」と呼ばれる内耳に音を伝える骨が損傷され、高度の難聴を認める場合があります。
また、もっと特殊な例では、耳小骨がはずれて内耳の中の液が外へ漏れ出す「外リンパ漏」が生じている場合があります。
全く聞こえないなどの高度難聴、受傷後強いめまいが続いている場合などは、外リンパ瘻の可能性があり、より注意が必要です。

[治療と経過 ]
一般に鼓膜は再生能力が高く、小さい穿孔ならば(小児では特に)一週間程度で自然閉鎖してしまうことも多くあります。
しかし、全てが放っておいていいものではありません。大切なことは、耳を乾燥状態に保つことで、耳の中を清潔にすることが第一です。もちろん、お風呂やプールなどでは、耳に水を入れないようにしましょう。
鼓膜が破れただけでは感染は起こらないので、早期に耳鼻咽喉科で診察を受け、感染を起こさないよう対処してもらいましょう。
感染を合併した場合、またダイビングで起こった鼓膜穿孔のように感染の可能性が高い場合は、抗生剤の内服や点耳薬を使った治療が必要になります。
経過中、穿孔が小さくなる傾向が認められないようであれば、ベスキチン膜などの薄い膜で穿孔をおおいます。この膜は熱傷や外傷性皮膚炎に被覆保護材料として使われていたものですが、これで穿孔をおおうことにより、閉鎖を促すことが可能になります。

長期に経過をみても、穿孔がふさがらない場合あるいは耳小骨の損傷が疑われる場合は、手術治療が必要です。フィブリン糊(のり)を使用した鼓膜形成手術のみであれば、日帰り手術が可能な場合があります。
一方で、耳小骨の損傷が疑われる場合や感染が加わり慢性中耳炎に移行した場合は、入院による鼓室形成術が必要になることもあります。
なお、症状のところで述べた外リンパ瘻によりめまい、難聴を起こしている場合は、ある程度の緊急性をもって、手術による外リンパ瘻閉鎖が必要になるので、早期の適切な診断と対応が必要です。

[最後に]
以上のように、外傷性鼓膜穿孔といっても、様々な原因と病状の程度があり、それぞれに応じた治療があります。その多くは、適切な治療により、最終的には治癒するので、それほど心配する必要はありません。ただし、外傷性鼓膜穿孔が疑われる場合は、できるだけ早期に耳鼻咽喉科専門医を受診し、適切な処置と治療を受けて下さい。

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