やなぎだ耳鼻咽喉科(大阪府東大阪市西鴻池町)| 耳・鼻・喉あれこれ

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咳止めのテープの話

2007,5,31

子さんの咳というのは、お母さんにとっては随分はらはらすることでしょう。お子さんの咳で本人のみならず、家族まで寝られないこともあると思います。近年になり、気管支炎などの気管支病変の咳に対しては、ツロブテロールのテープ剤(商品名:ホクナリンテープほか)という、体に貼るタイプの薬が使われるようになりました。

 この薬剤の普及に伴って、「子供が風邪で咳をしているので咳止めのテープをください」とリクエストをするお母さんが増えました。お母さんとしては、なかなか飲んでくれない飲み薬よりも、貼っておくだけで済むテープ剤は使い勝手がよいのは当然です。当院では、気管支喘息や気管支炎が認められる場合、あるいは今後、これらの病気に移行する可能性がある場合に処方するよう心がけています。

 しかし、小児科一般には「咳の出る子供にやたら処方されている」という現状があります。体に貼るという手軽さから、「ヴ○○クスヴェ○○ップ」や「冷え○タ」等と混同され、その上、常温で長期保存可能ということも好まれる理由でしょう。けれども、この「手軽さ」は少々危険もはらんでいます。

 そもそも、このテープは気管支拡張剤というお薬で、もちろん要指示薬といって、医師の指示がなければ使用してはいけない薬です。適応は「気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫」に限られます。したがって、喘息気質の子供なら、風邪の咳にも効果はありますが、風邪の咳に対して、すべて効果があるわけではありません。むしろ比率としては効果のないお子さんの方が多いのではないでしょうか。そして、副作用としては動悸、顔面紅潮、しびれ、ふるえ、のどの渇きが挙げられます。つまり、「ヴ○○クスヴェ○○ップ」のような気軽なお薬ではないのです。

 また、このテープを残しておいて次に使おう、というお母さんが後を絶たないのも事実です。もっとひどいのは、お母さん同士で譲りあったりしているケースです。困ったことに、それを止める手段がないのが実状です。

 咳止めのテープは、自己判断で使用しても効果がないばかりでなく、副作用のみ現れるケースもあるということにご注意ください。さらに、もう一つの問題点は、新たに内服薬が処方された場合に、このテープと同様の気管支拡張作用のあるお薬が処方薬に含まれている場合です。併用すると当然のことながら過量投与となり、副作用が現れる確率が高くなります。内服薬の処方内容や効能を充分確認し、重複しないようにテープを使用することが必要です。

 このように、「咳止めのテープ」と一般に言われたり思われたりしているこのお薬は、咳に対して、決して万能ではないのです。そして、その使用には充分な注意が必要であることに留意してください。

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