やなぎだ耳鼻咽喉科(大阪府東大阪市西鴻池町)| 耳・鼻・喉あれこれ

耳・鼻・喉あれこれ

おたふく風邪

2005,12,10

近、当院の周囲ではおたふく風邪が大流行で、学級閉鎖になった幼稚園もあると聞きました。そこで、今回はこの病気の話です。

[おたふく風邪とは] 
 おたふく風邪の正式病名は「流行性耳下腺炎」といい、ムンプスウイルスによる感染によって発症します。唾液(飛沫)感染、もしくは接触感染により発症するとされています。
 感染から発症までの潜伏期間は約2週間とされています。発症する約7日前から唾液腺の腫脹がなくなるまで唾液中にウイルスが分離されるので、この期間は感染力があります。したがって学校保健法では、唾液腺の腫脹がなくなるまで通学・通園が禁止されています。

[症状と合併症]
 症状は、耳下腺(耳の下の唾液腺)および顎下腺(顎の下の唾液腺)の腫脹と、約半数に認められる発熱です。合併症として、無菌性髄膜炎(2%程度)、精巣炎(成人では30%程度)などがあります。精巣炎は有名ですが、無精子症まで至るのは極めて稀です。耳鼻科領域で重要なものとして、おたふく風邪難聴(ムンプス難聴)があり、予後不良とされています。。

[診断と鑑別]
 耳下腺が腫れたからといって、必ずしもおたふく風邪ではありません。小児では化膿性耳下腺炎(細菌感染が原因です)も多くみられ、この疾患との鑑別が重要となります。
 おたふく風邪は生涯免疫とされ、一度感染すると二度とかかりません。しかし、不顕性感染といわれる症状が極めて軽いケース(約30%程度)があり、本人も周囲もかかったことを自覚しないことがあります。このようなことがあるため、おたふく風邪に初めてかかったのか、過去にすでにかかっているのかどうかをはっきりさせるためには、採血によるウイルス抗体価(IgM抗体、IgG抗体)の測定をおすすめします。

[治療]
 残念ながらウイルス感染のため特効薬はなく、解熱鎮痛剤の処方など対症療法が中心となります。重症の発熱、脱水には輸液療法が必要となる場合があります。

[予防]
 予防法としてはワクチンによる予防接種のみです。ただ、抗体の獲得率は90%程度といわれ、絶対的なものではありません。残念ながら感染者との接触後には、予防法はありません。

[おかあさんへのアドバイス]
 食べものを噛むと、唾液が出て腫れた唾液腺が痛むため、食事には気をつけてあげましょう。辛いもの、すっぱいものなどの刺激物は唾液の分泌を促し痛みを増幅させます。牛乳やスープなど栄養のある流動食を中心にして、アイスクリームやプリンなど好みのものを食べさせましょう。
 耳下腺の熱感と疼痛を訴えるなら冷湿布も有効で、頭痛を訴えるなら氷枕で冷やしてあげると少し楽になります。
 最近は熱がひいたから、元気だからといって、唾液腺が腫れているにもかかわらず、学校や幼稚園へ行かせるお母さんがおられます。周囲への感染の影響を考えると大きな問題です。安易な考えが感染症の大流行を招いたり、病気を治りにくくすることもありますので気をつけてください。

現在地:トップページ耳・鼻・喉あれこれ

予約申し込み(iTicket)問診票ダウンロード